2016.06.26. サロマ湖100kmウルトラマラソン 参戦記

選手受付会場:湧別総合体育館            リンク先:大会HP
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 今回の“サロマ湖100kmウルトラマラソン”は、「サブ10」を目指して走ることにした。

 ワタクシにとっては、100kmマラソンの自己ベストよりも35分遅く昨年の“サロマ”よりも30分以上遅いタイムになるが、レース前の1ヶ月間に例年の半分足らずしか走れていない、それどころか今年の2月以降はほとんど走っていなかったので、「サブ10」も厳しいと思っていた。

 そもそも、走れていなかったのは左アキレス腱痛の為であり、その左アキレス腱痛はと言うと‥回復半ば。痛みをかばったフォームでないと走れない‥こんな体調であったが、「ウルトラの聖地“サロマ”」ではイイ加減な走りはしたくなかったので、なるべく正確に自己分析し可能と思われる最高の走りを計画していた。

[参考]ブログ:「“サロマ”に挑む!」2016.06.23.

 

【レース前】

 レース前夜、ホテルのテレビで見た天気予報では曇り一時雨。気温は15℃ぐらいまでしか上がらないようだった。必要最小限の雨対策と寒さ対策を準備した。ウルトラでは、

 「あっても無くても良いモノは無い方がイイ」

っと考えている。

 レースの朝(?)は深夜1時過ぎに目が覚めた。出発する前に、足にワセリンをシッカリと塗り込み靴擦れとフヤケ予防。脇とウエストにも塗って擦れ予防。お腹にも塗り込んで冷え予防(下痢予防にも)。日焼け止めもシッカリと塗った(雨降りでも一日中湖畔を走ると紫外線によりダメージを受ける)。

 ウェアは長袖Tシャツ一枚にランパン、手袋とゲーターも着用(もちろんソックスも)、キャップとサングラスも用意したが、使うかどうかはスタート会場で決める。ポンチョ(手製:クリーニング屋でスーツに掛けてくれるペロペロの薄いビニール‥背中は大きく穴を開け通気を良くし、裂けそうな首の所はセロハンテープで補強。極めて薄いのでたたむとコンパクトになる)は手袋の中に忍ばせ、ウェストバッグは使わないことにした。

 午前2時30分に宿泊ホテルをバスで出発する予定だったが、皆さんが速やかに集合してくださったお陰で、予定時間よりも早くバスは出発した。スタート会場には3時50分前に到着することが出来たので、トイレはまだ空いていた。待ち時間ゼロで用を足してから、レースに備えた。

~レース前の目標~

 ①50km地点:4時間45分で通過(5km-28'30"を目安)

 ②ラスト20kmは2時間05分を切る!

 ③目標タイム:10時間05分±10分

[参考]ブログ:「“サロマ”に挑む!」2016.06.23.

 

【レース】

 雨模様の曇天の下でスタート地点に整列していたら、雨がポツポツ落ち始めた。しかし、寒くなかったのでガタガタと震えずに済んだし風も感じなかった。

 例年よりも地味な(?)スタートセレモニーが終わり号砲を待つ数分間、これから大冒険が始まろうとしている割には緊張感が無かったのはレースへの意気込みが低かったからだろう。しかし、レース展開を頭の中で繰り返し確認し困難に立ち向かう準備は怠らなかった。

 スタートゲートのデジタル時計を見ながらピストルの音に合わせて腕時計のストップウォッチのボタンを押した。前方から3列目ほどの位置からスタートしたので、ストレスなく走り始めることが出来た。周囲は一流ランナーが多く、比べ物にならないハイペース。あっという間に差が出来た。そんな中、ワタクシと同レベルのランナーも大勢周りを取り囲んでいたので集団のペースに乗って前へ進んだ。

 

 ‥予想以上に左アキレス腱が痛んだ‥足の前へ乗り込めない効率の悪いフォームで走るしかなかった‥“柴又100K”でもこのフォームで走れたのであまり気にしなかったが、可能な限りロスを最小限にしようと痛みと重心の位置を天秤にかけながら走っていた。

 予想通り、速めのペースに巻き込まれて10kmを過ぎた。うっかり5km地点の表示を見落としてしまったのでハイペースを数字で確認するのが10km地点になってしまった。

 *10km-53:00//205

  10km毎のラップタイムはランネット・ランナーズアプデートより。

※( )内5km毎のラップタイムはランナーズアップデートを基に、自分で計測したタ

 イムに修正を加えたもの。

※順位はランネット・応援ナビより。

 

 ペースを落とさなくてはイケなかったが、都合良く(?)早くもトイレに寄りたくなったので15km過ぎに仮設トイレへ駆け込んだ。‥気温が低いとトイレの回数が増える。“柴又”では100kmの間に1回しか寄らなかったのに、今回は30km迄に3回もトイレへ行った。レース中の合計は56回ぐらいだっただろう‥

 トイレからコースに戻ると間もなく、小雨だった雨粒が大きくなってきた。周りの林の樹々の葉っぱがポツポツと音をたてにぎやかになってきた。手袋に入れておいたポンチョを取り出し走りながら頭から被る。路面が水で光るようになり、やがて轍に水が溜まるようになるとコース取りも水たまりを避けるようになる。すると自然に周囲の選手達とキチンと列を作って走るようになっていた。列になると後続の選手が気になってしまう。ペースを落とすと後ろの選手は水たまりに入ってワタクシを追い抜かなくてはならないので、気を使って速いペースに合わせてしまう。場所によってはそんなこともあり、なかなか思うようなペースで走れずに30kmを過ぎてしまった。

 *20km-54:07(26:02/28:04)//217

 *30km-57:06(29:09/27:56)//237

 

 30km地点で6'00"/kmペースよりも15分タイムの貯金が出来た。予定では50km迄に15分貯金するハズだったので、貯金は出来たがここまでの展開は失敗である。ペースが速過ぎた。

 「タイムの貯金は、体力の借金」

 序盤から(自覚は少なかったが)体力の借金を貯め込んでしまったので、35kmからの下りはほとんど歩き、脚を温存した。

 「貯金は使わなくては意味が無い」

 予定では50km地点から蓄えたタイムの貯金を使うハズだったが、予定を変更して45kmから貯金を惜しまずに使うことにした。

 *40km-56:14(28:18/27:55)//230

 *50km-1:01:48(28:24/33:23)//238

  (50kmスプリット-4:42:15:目標①クリア)

 

 54kmのレストステーションは予定通り短時間で通り抜け、キャップとサングラスは不要と判断して置いて行った。

 55kmを過ぎてしばらく先にある、長い「誘惑の下り坂」では補給しながらかなり歩いた。ここで歩くために貯金してきたのだから‥

 「貯金は使わなくては意味が無い」

っと、言い聞かせて後半の展開をイメージした。コースは60kmを過ぎるとアップダウンが少なくなるのでそこでリズムに乗れるようにと、トイレも早めに済ませた。

 *60km-1:08:16(33:59/34:17)//241

 

 スペシャルドリンクを受け取り、「魔女の森」を抜け、私設エイドでおしぼりを手渡して頂き、大漁旗の応援を受け(雨の為か屋根の上では無かった)、カボチャの欄干の橋を渡り、大きなエイドステーションでは大勢の方々から声援を頂き‥ワッカへ向かう。ここまでは

 「ラスト20km2時間05分を切る!」

っと言う、目標②を意識していた。身体の状態を絶えず観察し、タイムの貯金と、残りの距離と体力とを計算し続けていた。

 *70km-1:02:24(31:34/30:50)//227

 *80km-1:02:33(31:22/31:10)//211

 

 80km地点で「サブ10」ペースよりも4分半のアベレージがあった。60km以降の様子をみながらのペースをそのまま続ければ「サブ10」は達成である!この時点で、かなりの確率でイケそうだと目標③達成が見えてきた。 そして、脚の様子からも目標②、

 「ラスト20km2時間05分を切る!」

は、楽勝だと確信した。そこで目標を設定し直した。

「ラスト20km2時間00分を切る!」

‥それはフィニッシュタイム9時間55分を意味していた。

9時間55分」は想定範囲内ではあったが、ここまで小さなタイムロス(トイレ待ち、エイドの時間)をあまり気にせずに通過してきたので、9時間55分を意識するには遅すぎた感もあった。しかし、とにかくこれ以降の走りで後悔したくなかったので、

「ラスト20km2時間00分を切る!」

を強く意識した。

 

 ワッカに入ると心配していた風は気にならなかった。顔に降りかかる霧雨を手袋で拭いながら、焦って潰れないように気をつけながらも余裕を持ち過ぎないように気をつけて、心の中で

 「急ぐな!」

っと、

「遅れるな!」

っと言う、相反する言葉をかけ続けていた。

 

 

  ワッカでも、下り坂は歩いた。それでも

 「ラスト20km2時間00分を切る!」

はイケると感じていた。6'00"/kmを多少オーバーしても、ラスト5kmではペースアップ出来る自信があったからだ。

 90km地点手前でワッカを折り返すのだが、今年から新しくなった橋を渡り数秒間、サロマ湖とオホーツク海とを眺めてみた。

 

 ‥ここでは楽しまなくてはイケないとも思っていた。そう、ウルトラは苦しむ為のレースではない。ウルトラは、なるべく楽に速く走れるように戦略を立て、それを実行するゲームだと思っている。もちろん、精神的に精進したり、苦痛と戦う精神力を試される場でもあるのだが、無理をして肉体を痛みつけても大きくタイムダウンするだけであり、競技として好成績は修められない。自分を苦しめても競技として考えれば、無駄な単なる自己満足に終わってしまう。ウルトラは自分をどこまで傷めつけられるかを競うモノでは無いハズだ‥

 

 折り返しの前で、前方に知人の姿が見えてきた!?彼がコンナ位置にいるのは実力通りの走りが出来ていないことになる!実は昨年もこの辺りで彼を追い抜いたのだが、今年は二人そろって昨年よりも30分程遅いレース展開を繰り広げていたと言うことだ。彼はゴールドのナンバーカード!そしてそのナンバーは

 「1」

である。そう、この大会の顔と言っても過言ではない、あの選手だった。そんな人物と25年程前からの知り合いでいられたことは、ワタクシにとって幸運なことだったのかも知れない。知人と言っても今は年に1度、この“サロマ”で出会うだけなのだが、偶然すれ違えば声は掛ける間柄だ。

 追い抜きながら、

 「××さん!お先ッ!」

っと声をかけ、折り返してから再びすれ違う時も手で合図。

 「10時間は切りましょうヨ!」

っと、かなりペースダウンしてしまった彼を励ました。

 ‥ところが‥2km程進んだ辺りだったか(?)、彼がス~ッとワタクシを追い越した!?

 「えっ!?××さん!復活!?」

っと言うと、

 「ナンバー1の意地があるからネ‥」

っとスッカりギアチェンジして走っていた。しばらくお互いに後先になりながら走ったが、ラスト4kmを過ぎた位だろうか?彼の走りは完全に変わった!スパートしたのだ!1km位は10m位後に付けていたが、彼のスパートには全くかなわなかった。流石である。って言うか、負け惜しみではあるが、今回のワタクシに置いて行かれるようじゃ彼もオシマイだ。‥完全に負け惜しみだけど‥

 

 しかし、彼のお陰で予定よりも早くラストスパートすることが出来た。やはりアキレス腱が痛むので、ブサイクで無駄の多い走りになってしまったが、最後はとにかく出し切ろうと全精力を注ぎ込んだ。快心の走りでは無かったが、現状では出来過ぎだった。

 

 フィニッシュ後、振り返り一礼した後に彼と握手してお礼を言った。

 「イイ目標がいたから最後、頑張れました!」

 ワタクシにはあまり似合わない、爽やかな幕切れだった。

 *90km-1:00:29(30:40/29:48)//201位

 *100km-59:16(31:03/28:12)//193位 ‥ラスト20km-1:59:45

 

 *total-9:55:13(グロス)//193位(100km登録男子)

 

 目標②②’、③クリアで良いだろう。

 

 今回のレースは、ある点で自信になった。練習も体調も不充分でありながら、「サブ10」を達成出来たからだ。ポイントは戦略だった。心技体の三要素の中で、技術力が大きくものを言ったレースであったことは事実だ。ウルトラはゲームの要素が多いから面白いのだ。

 

 今回も、大会を支えてくださった皆様に大変お世話になりました。雨の中、大声で声援を送ってくださった学生の皆さん。地元住民の皆さん。大会関係者の皆さん。出発前にも大勢の方から声をかけて頂いたり、メッセージで応援して頂きました。毎回のことですが、こうした皆さんのことをレース中に思い出すことで不思議な力が湧いてきます。

 本当に有難うございました。

~完~

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コメント: 2
  • #1

    韋駄天丼 (土曜日, 02 7月 2016 12:50)

    アキレス腱が痛いのに9時間55分での完走は天晴です。
    緻密な計画と実践力があるからこそだと思います。
    100kmが、楽に速く走るゲームというのは、目から鱗でしたがおっしゃる通りです。
    アキレス腱が早く回復されるようにご自愛ください。

  • #2

    栗田 浩三 (土曜日, 02 7月 2016 16:13)

    韋駄天丼さん、
    コメント有難うございます!
    途中の通過点ごとにハラハラ、ワクワクしながら通過するんはスリルがあって面白いです。先を見据えて思い通りに展開すると達成感が数倍増しますネ!
    しばらくレースが無いのでアキレス腱を労わります。


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